インドのコルカタでボランティアに参加する方法をご紹介
世界でもノーベル平和賞受賞者として有名なマザーテレサ。カトリック教会の修道女として貧しい人々を救おうとするマザーテレサの活動と信念は、彼女の死後もなお、後進の修道女によって受け継がれています。
インドのコルカタにあるマザーハウスで続けられているその活動には、誰でもボランティアとして参加することができます。この記事では、実際に筆者がボランティアを体験した経験を踏まえて、マザーハウスでのボランティア参加方法とその内容についてご紹介します。
マザーハウスとは
マザーハウスとは、インドのコルカタにあるマザーテレサの意志を受け継ぐ者たちがボランティアを行う施設で、修道女(シスター)が病気の人や孤児、障碍者を支援しています。Mission of Charity “Mother House” が正式名称です。
87歳でその生涯に幕を閉じたマザーテレサのお墓も同じ場所にあり、シスター達により毎日ミサが行われ、天に祈りを捧げます。またマザーテレサのお墓まいりに来る観光客も少なくありません。マザーテレサに関する展示物もあり、彼女の信仰や思想に触れることもできます。木曜日はお休みです。
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マザーハウスがある場所と行き方
マザーハウスの場所はインド国、西部にある都市コルカタに位置しています。
正式な住所はこちらです。
54A, Acharya Jagadish Chandra Bose Rd, Ripon Street, Kolkata, West Bengal 700016 India
行き方は、コルカタ空港(正式名称はネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港)から鉄道またはバスでコルカタ市内へ向かいます。お勧めは空港バスです。運賃は50ルピー。
バスに乗り、Taltalaで降りて、マザーハウスまでは徒歩移動が便利です。予算に余裕がある人は空港からタクシーを利用してもいいかもしれません。運賃は約300ルピーです。早朝は暗いのでご注意ください。
駅や空港ではリキシャを利用すると安く、快適に移動できます。空港からコルカタ市内までなど、あまり長い距離は走ってくれませんのでご注意ください。
マザーハウスのボランティアの参加方法・費用
日本でパッケージツアーを手配
1週間で134,000円~(HIS)※渡航費込みです。
日本で現地ツアーを手配
1週間で25,000円~(インドサンタナグループ)※渡航費は含みません。
現地で手配
半日から数か月まで、短期・長期いずれも活動が可能です。
まずは月・水・金曜日の15時にShishu Bhavanへ行き、前日に事前にボランティア登録しておくことをお勧めします。(ShiShuBhavanへの行き方はマザーハウスを背にして、左手へ徒歩5分です。)
登録費用は無料です。名前とパスポート番号と活動を希望する施設の名前を書いて登録用紙を提出します。1dayパスまたは3daysパスをもらう事ができます。登録が完了するとパスとチャームがもらえます。登録なしでも当日の飛び込み参加が可能ですが、ボランティアの数が多すぎると参加できないことがありますのでご注意ください。
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マザーハウスのボランティアの種類
死を待つ人の家(Nirmal Hriday)
結核やマラリアなど重篤な状態の患者さんの最期を看取る場所です。仕事内容は排泄や入浴の介助、洗濯や掃除、皿洗い、食事の世話などです。長期のボランティアになると、マッサージなどをシスターから任されたりもします。
孤児の家(Shishu Bhavan)
貧しい子どもや捨てられた子どもたちの為の施設です。仕事内容は食事の世話やおむつ交換、洗濯、着替え、一緒に遊んだりなどです。
障害者の家(Prem Dan)
貧困で治療を受けられなかったり、知的障害を持つ人が収容されています。仕事内容は排泄や入浴の介助、洗濯や掃除、皿洗い、食事の世話などです。
薄弱者(精神的障害者)の家(Shanti Dan)
女性精神病患者や障碍をもつ子どもが収容されています。仕事内容は患者さんと話をしたり、洗濯や掃除、食事の世話などです。
障害児の家(Daya Dan)
未熟児や障碍を持つ10歳未満の子供が収容されています。仕事内容は、一緒に遊んだり、食事の世話やおむつ交換、着替えの手伝いなどです。
いずれの施設も毎日大量の洗濯物や皿洗い、掃除などがあります。1日に40~50人ほどの人がボランティアで参加するのに加え、シスターたちも活動しています。
マザーハウスのボランティアの1日のスケジュール
1日だけ滞在の場合も、長期滞在の場合も、1日のスケジュールは、朝7時に施設へ集合し、ミサと朝食(バナナ、クッキー、チャイ)からスタートします。
ボランティア登録情報をもとに、担当が割り振られ、当日参加の人も担当が割り振られます。登録時点でどの施設でボランティアをしたいか希望を出すことができますが、必ずしも通るとは限りません。半日の場合はボランティア活動を12時頃終了、1日の場合は昼食をはさんで17時半頃に終了します。
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マザーハウスにボランティアに来ている人
ボランティアには世界中からあらゆる人が参加しています。世界各国から集まるだけあって、言語も多種多様に対応できるスタッフがいます。
一人での参加者、友達同士、親子で参加する人など、様々です。観光で1日だけ参加する人もいれば、20年ほどボランティアを続けている人もいます。実際に日本人女性でおよそ20年マザーハウスのボランティアに従事している人にもいます。
目的も様々で、観光のついでに来る人や、奉仕活動に燃える人、いまの自分を変えようと悩んでいる人など、明確な目的がある人もいれば、友人に付き添って参加しました、というまったくボランティアに興味の無い人もいます。しかし大半の人は優しい心を持ち、恵まれない人や病気の人たちを支えたいという気持ちに満ち溢れています。
マザーハウスに参加して良かったこと・嬉しかったこと
実際に参加して良かったことは、まず誰かの役に立っているという実感を味わえたことです。
筆者は怪我をした人が一時的な治療を求めて来訪する施設の担当になりました。皆、道で転んでけがをしたり、お料理の最中に指を切ってしまったり、再訪する人で包帯を交換してもらいに来る人など、大けがではないものの、傷から血が出ていて、何とかしてほしいという人が泣きながら長い列をなしていました。
シスターたちが消毒液をバケツに入れ、治療をする最中、患者さんたちは痛みに耐えて、苦痛で顔をゆがませました。そんな人たちの手を握り、時には抱きしめ、マザーテレサの気持ちになって、活動しているという実感で胸が熱くなりました。何かを施した患者さんたちは皆、感謝と笑顔を返してくれました。
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マザーハウスに参加してつらかったこと
反対につらかったことは、適切ではない治療が行われていたことです。
ある日バイクで転んで傷だらけの少年がベッドに運ばれてきました。シスターが、一つのダンボール箱を持ってきて、「使う薬はどれだ?」と筆者に尋ねました。箱の中身は、各国からの観光客が残していった、たくさんの薬の残骸でした。「この患者につかっていいか?」とシスターが拾い上げたのは「ホッカイロ」でした。ホッカイロについてはきちんと説明をして事なきは得ましたが、返答を間違えてしまったらどうなったことかと思うと今でもゾッとします。
傷だらけの少年に直接向き合っている状況で、迅速に正しく治療を施せない己の無力さを感じ、つらかったです。また、次につらかったのは廃棄物処理のいい加減さでした。
作業終了後、バケツ一杯に溜められていました使用済みの消毒液を「道路のマンホールを開けて、そのまま捨てるように」とシスターから指示されました。ほかのボランティアスタッフと一緒にやっとの思いで運び、そのまま消毒液を下水に流しましたが、インドは下水処理設備がまだまだ整わない環境です。すぐさきの川で洗濯や沐浴をする姿を想像して、再び心を痛めました。
まとめ
マザーテレサの愛と情熱が今もなお溢れてやまないマザーハウス。あなたも一度参加してみてはいかがでしょうか。生前彼女が残した名言。「私たちは、大きいことはできません。小さなことを大きな愛をもって行うだけです。」このなんとも謙虚で愛に溢れる言葉の意味を確かめてみるのもいいかもしれません。