インドはチーズを使いすぎ？その理由と激うまチーズ料理10選
これを読んでいる皆様はインド料理でチーズを使うというと、まず何を想像するでしょうか。例えばチーズが湧き出るようなナンは非常にフォトジェニックで、日本人に人気です。
インド人もチーズが大好きです。ではインドで一般的にどのようなチーズを料理に使うかというと「パニール（Paneer）」とよばれる加熱しても溶けないカッテージチーズが主流であり、インドで使われるチーズの大半を占めています。ここではインド人がチーズ好きな理由と、その代表的な料理について、ご紹介します。
インド人がチーズ好きな理由
インド人がチーズ好きな理由は、その食文化と嗜好にあるといえます。インドではチーズは主に中部～北部で多く用いられます。厳格なベジタリアンが多く、乳製品が主要なタンパク源となるこの地域で、ヘルシーかつ風味豊かなチーズは最も良い食材の一つとして、古くから珍重されてきました。
現在でも、一般家庭からレストランまで幅広く用いられ、インド人にはこれが好きでこれしか食べない人もいます。また、ケータリング等では料理のリクエストにほぼ確実に挙がります。
さらに、インド人は基本的にクリーミーで塩分を多く使う料理が大好きです。都市部のスーパーなどではパニールがkg単位で売られるほか、輸入のチーズやプロセスチーズも並び、ややジャンキーともいえる味わいは若い世代に人気となりつつあります。
こうした背景に加え、料理に何かを足すことが好きで、かつ量に糸目をつけないインド人のスタイルでは、時に山のようにチーズが提供されることがあります。
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チーズが入っている料理
パニールティッカ（Paneer Tikka）
インド料理でよく目にする「チキンティッカ」と同様、インドチーズ「パニール」をスパイスで味付け、ヨーグルト等でマリネしタンドールで焼いた料理です。通常は「チャトニ（Chatney）」とよばれるミントやトマトのソースを付けて食べられ、店によってパプリカやニンジンと一緒に焼くこともあります。
パニールの魅力を最もシンプルに味わえる料理の一つであり、ビールやワイン等アルコールとの相性もばっちりの定番です。
パニールマサラ・カダイパニール（Paneer Masala / Kadai Paneer）
パニールを使ったトマトあるいはオニオンソースの定番カレーであり、北および西インドのレストランでほぼ確実にメニューにある料理です。「パニールマサラ」はオニオンソースのシンプルなカレー、「カダイパニール」はカダイとよばれる鍋で作った、大ぶりの玉ネギやピーマンと炒め煮にして作ったドライなカレーです。
この他にも「シャヒパニール（Shahi Paneer）」とよばれるバターを多く使った宮廷料理風カレーや、「ナブラタンコルマ（Navratan Korma）」とよばれる野菜やナッツとともに調理されるクリーミーなカレーもあり、地方や店によってその呼び方もレシピも様々です。
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サグパニール（Saag Paneer）
こちらも前述のようにパニールのカレーですが、ほうれん草ペーストをソースにして作ったカレーであり、ほうれん草とチーズの香りが調和する北インド料理の定番として広く親しまれています。北インド料理店であればほぼ必ずメニューにある料理ですが、高価なものほどほうれん草とパニールを多く用いるため、より深みのある味となります。
日本のメーカーが積極的に製造しているインドカレーの一つであり、手軽に味わうことができます。近年ではインドでも複数のメーカーがレトルトの製造に取り組んでおり、日本でも輸入食品店やスーパーなどで見ることが多くなっています。
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パニールパコラ・パニールマンチュリアン （Paneer Pakora / Paneer Manchurian）
「パニールパコラ」はスパイスで味付けしたパニールを揚げた天ぷらのような料理であり、トマトのソース等とともに食べるインド定番の揚げ物です。一方「パニールマンチュリアン」は揚げたパニールを玉ネギとともにスパイス・醤油・酢などで炒めた中華風料理です。
なおインド隣国のネパールは、隣接する中国の影響を受けていることからパニールを使った中華風料理が数多くあり、ネパール人が多く住む北インド等で食べることができます。
パニールクルチャ（Paneer Kulcha）
パニールを詰めて焼いたナンであり、インド人にも特に人気の料理の一つです。レストランよりも駅の食堂などで提供され、カレーなどは付けずいわゆる総菜パンとして、単品で食事とされることが多い料理です。また、パニールを使ったサンドイッチなども駅構内などでよく見られ、断面を見るとさながらゆで卵のようにパニールが厚く詰められているのが分かります。
これ以外にも、米粉クレープの「パニールドーサ（Paneer Dosa）」、インド風ピラフの「パニールプラオ（Paneer Pulao）」など、あらゆるところにパニールを用いてボリュームを生む傾向があります。
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マライコフタ（Malai Kofta）
「コフタ」はインドで「団子」を意味します。パニールと野菜をペーストにして団子状に成形し、カレーにしたインドで人気の料理です。手間がかかるうえ具材の保存が難しいため、インドでもある程度のレストランしか置いておらず、日本ではあまり見ることがありません。
これ以外にも、このコフタを揚げる、焼くなど様々な料理に用いられ、料理名も地域や店によって異なりますが、一様に人気です。
マライカバブ（Malai Kabab）
多くのインド料理店で置かれているチキンのタンドール料理であり、マリネするペーストにチーズを用いて風味付けします。用いるチーズはモッツァレラが多く、まろやかで親しみやすいため日本人にも人気の料理です。
また、チキンティッカやケバブ類を薄いパンで巻いた「カティロール（Kathi Roll）」もインドでは人気のストリートフードです。元来はチーズを入れませんが、ファストフード等の影響を受け、トッピングとして追加する店も近年は存在します。
ピザ・ウタッパム（Pizza / Uthappam）
古来よりシルクロードで地中海地方と地続きであったインドでは、イタリア料理も普及しています。特にピザは材料やレシピがインド料理と似ていることから各地で普及しており、中でもパニールと風味・形状が似たモッツァレラチーズを用いたインド風マルゲリータはあらゆる層に親しまれています。
また、南インドの米粉ピザとも呼べる「ウタッパム（Uthappam）」は元来、米粉生地に玉ネギやトマトを乗せて鉄板で焼いた料理ですが、近年では溶けるチーズを乗せる店も増えています。これは近年、海外からインドに進出しているピザチェーン店の影響を受けたものといえます。
基本的にインド人は具材を多く乗せることを厭わないため、必然的にチーズの量も多くなります。
ラスマライ・ラスグッラ（Ras Malai / Ras Gulla）
どちらもインドの代表的な砂糖菓子であり、ともにパニールを団子状に丸めたものを具材としています。「ラスマライ」はそれをシロップに漬けたものであるのに対し、「ラスグッラ」はシロップに漬けない代わりに生クリームなどを具材に混ぜて濃厚さを付した料理です。どちらも日本人の味覚ではとても甘いもので、インドでは祭事等で大量に提供される定番スイーツです。近年では缶詰も製造され、日本でもハラルショップ等で販売されています。
このほかにもチーズを原料にしたスイーツがありますが、どれも一様に甘く日本人には難しいものが多いです。
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チーズナン・チーズドーサ（CheeseNan / Cheese Dosa）
「チーズナン（Cheese Nan）」や「チーズドーサ（Cheese Dosa）」、これらは日本でよく見かけますが、加熱して溶けるタイプのチーズはかつてのインドにはほぼありませんでした。こうしたチーズを用いるようになるのは、コストや日本人からの人気を考慮した結果であることが多いです。
「溶けるチーズを沢山入れたほうが売れる」という認識のもと、日本でレシピを学んだ各店のインド料理人が競うようにチーズを多く詰めるようになっています。
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まとめ
インドのチーズ料理、いかがでしょうか。インド人がチーズと聞いて想像するものは、日本人と少し異なるかもしれません。しかし、日本人以上にインド人とチーズは深くかかわっており、今以上にチーズを好きになる可能性を持っています。インドでチーズ料理がトレンドになり、SNSを賑わせるのも遠くないかもしれません。
